次の大接近は60年後
「ベツレヘムの星」とは、イエスが誕生したときに輝き、東方の3賢人を呼び寄せた星のことです。
この星は「クリスマスの星」とも呼ばれるなど諸説ありますが、天文学者のケプラーは木星と土星の会合だと推定しています。
紀元前7年の魚座での2惑星の接近が、それだというのです。
魚座はユダヤ教では神聖な星座で、木星と土星は当時、半年に3度接近を繰り返したといいます。
占星術師でもあったケプラーは、それを特別な啓示とみたのです。
ただ、このときの接近間隔を計算すると1・0度程度で驚くような大接近でもありません。それに対し、今起こっている木星と土星の大接近はわずか0・1度で、見かけの満月の直径の約5分の1の間隔に近づきます。
日本では12月21日と22日の日没後、南西の低い空に見える約400年ぶりの木星と土星の大接近です。明るいほうが木星、暗いほうが土星で、天体望遠鏡で覗くと木星やその衛星、輪のある土星とが一望できる天体スペクタクルとなります。
中国や日本の古天文学では、惑星の接近を「合」といいます。そのうち間隔が0・7度以下の大接近は、「犯」と呼ばれています。
16世紀までの古文書には350件以上もの合犯が記録され、昔の人が天下の安寧にかかわる天変と見ていたことがわかります。
コロナ禍の感染拡大が止まらない世界で、ケプラーが説いた「クリスマスの星」の再来となります。次の大接近は、60年後です。
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