日本の男女平等の実態は悲惨
男女平等の問題で、日本政府はこの8年、本質的な〝基礎疾患〟ではなく歴史的に染みついた性差別という表面上の〝症状〟の治療を行ってきました。
安倍前政権と与党自民党は、女性の就業率を上げることで日本経済を復活させることができるはずだと考えたのでしょう。
しかし、色々な調査結果が示しているのは最も活気があり、革新的で生産性が高いのは女性の能力を最大限に活用している国や企業だということです。
それでも安倍政権は本当の男女平等ではなく、統計の視点から考えて女性の就労率を約70%にまで引き上げてきました。しかし、問題はそうして就労した女性の大多数が「非正規雇用」だったということです。
この70%という数字は、本質的にフルタイム以外の形で働いている実際の女性の割合でもあるのです。
非正規雇用の従業員は、コロナ禍のパンデミックが起きるなど経済的に困難な状況に陥ると簡単に人員削減の対象にできます。
コロナ禍に見舞われる前でさえ、社会学者は日本女性、とくにシングルマザーの貧困率の高さを憂慮していました。
一方、エコノミストは、世界経済フォーラム(WEF)の調査結果を重視していました。それは、日本が女性に男女平等の競争の場を与えると国内総生産(GDP)が約5000億ドル(約52兆円)も増えるというものでした。
さらに、米金融大手ゴールドマン・サックスの推計によると、それはGDPを約15%押し上げる可能性があるというものでした。
残念ながら、安倍前政権を引き継いだ菅首相は女性たちが受けている〝経済的逆風〟についてほとんど何も語っていません。
菅政権では、安倍前首相にみられた形だけの平等主義(トークニズム)が踏襲されているだけです。新たに閣僚に選ばれた女性は2人だけで、どちらも最重要ポストには就いていません。
日本は、相変わらず治癒が困難な家父長制とデフレという既往症に病んだままです。その既往症は、コロナ禍がもたらした混乱のなかで危険な病巣を露わにしています。
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