ドカ雪は天からの手紙

 江戸川柳に、「夏草やつわものどもが夢の跡」をもじった「この雪に馬鹿者どもの足の跡」という句があります。

 雪が降ると、勇んで雪見に出歩いて物好きな人をからかった句です。

 昔の江戸は、今の東京よりも雪の日が多かったといいます。雪景色の浮世絵や雪見の名所の評判が、それを物語っています。

 実際、江戸時代後期の気候は寒冷で、隅田川の結氷という記録も残っています。

 ただ、雪にはしゃいだ江戸の庶民に対し、雪国の庶民が豪雪に苦しみ、恐れたという対比は今も昔も変わりません。

 雪のシーズンも始まったばかりなのに、早くもドカ雪が雪国を襲っています。列島上空への強い寒気の流入により、日本海側の地方や関東の山沿いでは記録的な大雪に見舞われています。

 例年ならクリスマスや年末年始の寒波が話題になりますが、雪国の人も驚く師走半ばの記録的寒波の急襲です。

 交通への影響や停電の被害も、各地で出ています。

 氷雪の研究で知られた物理学者の中谷宇吉郎さんの言葉に、こんなものがあります。

「雪は天から送られた手紙」

 雪のシーズンの初っ端からのドカ雪も、荒々しさを増している地球規模の気候変動にまつわる天からの手紙なのかもしれません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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