日本の「公助」の現実は後先が逆

 先日、自閉症の19歳の長男と暮らす父親は、逮捕された息子がいる川崎市の警察署でこう聞かれています。

「再発防止のために、どうするつもりか」

 そのとき、父親はこう答えています。

「親は、いつまでも死ねないじゃないですか」

 それは、心の叫びでした。

 自閉症の長男は、集合住宅のインターホンを押す迷惑行為をしたとして警察に職務質問されています。

 その際、川崎市で先日、長男の肘が警察官に当たってしまったといいます。それで、逮捕されたのです。

 父親は、親の責任を痛感しています。

 父子家庭のため自分一人の付き添いにも限界があり、移動支援のヘルパーを求めていました。しかし、なかなか見つからなかったのだといいます。

 事件後、直ぐにヘルパーを手配してもらうことができました。理由は、「優先度が上がった」からだといいます。

 父親は、深くため息をこぼしています。

「日本の社会では、杖は転んでから差し出されます。それが現実なんです」

 これが、菅首相の言う「自助」の現実です。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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