世界は分断と不寛容に満ちている

 


 

 米国のミュージシャン、故プリンスさんが他のグループに提供した作品に、こんな歌詞があります。

「君に必要なのはドナルド・トランプの黒人版かもね」

 この曲は恋する女性に「すべての願いと夢をかなえてあげる」と囁くラブソングで、トランプ氏を富の象徴として歌っています。

 時代の動向に敏感だったプリンスさんは、弱者救済にも積極的だったといいます。

 2005年、米南部がハリケーンで壊滅的被害を受けた直後にチャリティーソングを発表し、被災地に収益を寄付しています。

 15年には、ボルティモアの黒人男性死亡事件をテーマとする曲で「正義ある平和」を訴えています。

 プリンスさんは、16年4月に鎮痛剤の過剰摂取で急死しています。同年秋の大統領選でトランプ氏が勝ち、次の選挙でも混乱を招くなど知るよしもなかったでしょう。

 出身地のミネアポリスでは今年5月、新たな黒人男性暴行死事件も起きています。

 プリンスさんは、分断と不寛容が続く世界を天国で嘆いていることでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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