エベレストが86センチも高くなった


 寺子屋の道徳の教科書「実語教」に、次の一節があります。

「山高きがゆえに貴からず、樹あるをもって貴しとなす」

 山は高さではなく、豊かに樹木を茂らせていることに価値があるという意味です。

 ただ、同じ山でも世界最高峰となると高さも大事なようです。

 先日、中国とネパールは両国にまたがるエベレスト(中国名チョモランマ)の標高が8848・86メートルとなると発表しています。

 この高さは広く知られた標高から86センチ高くなり、これで正しい標高をめぐる長い論争が決着するかもしれないといいます。

 そもそもこれほどの山は正確に高さを測るのが難しいらしく、古くは19世紀のインドのほか中国、米国、イタリア隊などがそれぞれ測定しています。ただ、それぞれの標高を測定した手法や精度などをめぐって論争が絶えなかったのです。

 今回はネパールが国の威信をかけて挑み、山頂に測量の機材を持った技術者を送り込んで初めて測量しています。欧米のメディアによると、1人が凍傷で足の指を失うほど過酷な作業だったといいます。

 独自の再測量をした中国への反発も表面化していましたが、共同の発表となっています。多くの努力の木を茂らせて、86センチの高さ以上にエベレストの貴さは増したようです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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