国際的に遅れている労働政策


 労働運動の活動家は、コロナ禍の労働環境の一端を明かしてくれた。

「日本人よりも、働きに来ている外国人たちの方が新型コロナウイルスには神経質です。祖国では簡単に病院にかかれないし、日本で感染すれば失職に直結します」

 この活動家が関わっている職場の多くは、中小零細企業です。大半の組合員は、外国人を含む非正規雇用の労働者たちです。

 活動家は今、コロナ禍で多忙を極めているといいます。もちろん、企業の雇い止めが多発しているためです。

 出稼ぎ目的の外国人労働者に長引く争議は不向きだから、従来は雇い止めでも金銭解決が多かったといいます。その相場は、数か月分の給与額だったそうです。

 しかし、この慣例はコロナ禍で崩れえしまったといいます。

「完全に行き詰まって、払えない会社が多いのが実態です」 

 雇い止めのほか、休業手当の未払い相談も多いといいます。

 政府はコロナ禍を受け、中小企業を対象に企業が休業補償に応じない場合、個人で国に補償を請求できる制度を設けています。

 ところが、これが機能していないといいます。

「申請には事業所の労働保険番号が必要ですが、保険の加入義務を怠っている企業が少なくないのです。それがバレかねないので、教えないんです」

 まさに、企業の脱法行為のツケが弱い立場の外国人労働者を直撃している形です。

 本来は行政が睨みを利かせるべきですが、その腰は重いのです。

 政府は現在、人道的に疑問の多い入管難民法の改正を検討中ですが、外国人労働者いじめの脱法行為を看過したままです。

 そのやり方は、国際的にも理解が得られないものになっています。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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