勝利至上主義に毒されたスポーツに新風


 古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、こう述べています。

「最強の戦士は、最良の踊り手である」

 当時のスパルタでは、兵士の戦闘訓練にダンスが採り入れられていたといいます。しかし、古代のオリンピックでダンスの技が競われることはありませんでした。

 ところで、2024年のパリ五輪の実施競技にブレークダンスが初めて採用されたといいます。

 頭を地に着けて回るヘッドスピン、背中などで回るウインドミルなどパワームーブと呼ばれる曲芸のような技で、誰もが一度見たら忘れないあのダンスです。

 このダンスが生まれたのは、1970年代の米国です。当時、ニューヨークではブルックリンの若者のストリートダンスが台頭しています。

 そのころストリートダンスは、ストリートギャングの抗争の暴力によらない〝調停手段〟としてダンスのバトルが行われたたといいます。

 この半世紀で、ヒップホップ文化を代表するダンスとなっています。

 近年は、ネットを介した交流や競技もさかんなブレークダンスです。若者にアピールする都市型スポーツとして、五輪イメージ刷新の期待を担ってのパリでの新競技となるわけです。

 ブレークダンスの世界的強豪国は、米国ではなくフランスや韓国だといいます。

 代わりに、パリ五輪では野球や空手が競技から外れます。

 ダンスと五輪がすんなり結びつかぬ世代にも、勝利至上主義に毒されたスポーツをさわやかに変える文化の新風は歓迎でしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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