事実を消し去る消しゴム


 仙台市の小学校で、イジメの実態調査結果を担任の男性講師が勝手に〝良いスコア〟に書き直していたといいます。

 イジメられたことが「ある」という児童の回答を「ない」と書き換え、「どのようないじめを受けたか」の回答については消し去っていたというのです。

 男性講師は懲戒免職処分となっていますが、いじめの件数が少ないと自分への評価が高くなると考えたといいます。

 これでは、まるで「イジメの解決なんてカンタンさ。消しゴムひとつで解決する」という子どもじみた短絡思考です。

 そもそもイジメが「ある」という回答は、児童の「助けて」という叫び声です。それを無情の消しゴムで、ゴシゴシと消し去って「イジメはなかった」としていたのです。

 消しゴムで消し去ると、黒いカスが残ります。そのカスは、学校や大人に対する子どもの不信感の〝象徴〟となってしまったというわけです。

 男性講師は、それでは決してイジメが消えることはないとなぜわからなかったのでしょう。ともかく、男性講師が使った〝消しゴム〟には溜息が出ます。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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