分厚い岩盤に穴を開ける


 12月6日まで国立歴史民俗博物館で開催されていた「性差(ジェンダー)の日本史展」を見ると、その濃密な内容に刺激を受けるとともに切なさもこみ上げてきました。

 女性は、もしかして古墳時代の方が生きやすかったのかもしれないという気にもなりました。

 その展示や図録によると、弥生時代後期(1世紀後半)から古墳時代前期(4世紀)にかけて女性首長が一般的に存在していたとされていました。

 当時、前方後円墳に埋葬される女性首長の割合は3割から5割に上っていたといいます。男性の場合は鉄のやじりか甲冑が一緒に埋葬されているため、性別がおおよそ判別できるのだそうです。

 その3割こそ、政府が21世紀になって「指導的地位に占める女性の割合」の目標としていた数字です。今年までに達成することを目指していたが、それが達成できずに延期しています。

 男性優位や父系原理の国家体制を決定づけたのは、7世紀末から始まった中国の法体系(律令)の導入でした。明治維新後に作られた法体系も、女性を排除する方向に働いています。

 来館者には若い女性グループやカップルもいましたが、彼らが生きやすい社会にするためにも分厚い岩盤に穴を開ける必要があることだけは確かです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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