検察は政治と一定の距離を置き、謙虚に真実を追究する「倫理と品性」を備えよ


 大阪地検特捜部による証拠改竄事件が発覚してから10年、法相の私的諮問機関は地に落ちた検察への信頼を回復するための提言をまとめています。

「現実の社会に目を向け、その変化を感じ取って未来を志向する能力を培い、より高い倫理と品性を身に付け――」

 この提言に法務省の事務方として関わった東京高検の黒川弘務検事長(当時)は、コロナ禍の「緊急事態宣言」発出下で記者と賭けマージャンをしていたとしてその職を追われています。

 もちろん、コロナに苦しむ「現実の社会」を軽視した行為です。とても、「高い倫理と品性」を備えているとは思えません。

 この問題をきっかけに、法相が再び法務・検察の課題を議論する有識者会議を設けています。 

 黒川氏をめぐり、取りざたされた政治との関係も、同会議の重要なテーマです。政権に近いとされる人物を検事総長にするために政府が定年を延ばそうとした疑いが強いのですが、このテーマは議題にならず、元裁判官の委員が抗議の辞任をしています。

 同会議で有識者の議論が続くなか、安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭にも注目が集まっています。

 安倍首相(当時)側が費用を補塡していたことが明らかになり、東京地検特捜部が捜査を進めています。

 そもそも安倍政権が黒川検事長を検察トップに据えようとしていたのは、この桜の捜査に手心を加えてもらうのが狙いだったのではないかと疑っている国民は少なくありません。

 疑念を持たれること自体、政治の指導者として由々しき状況ですが、検察は組織の名誉回復を目的に捜査してはならないでしょう。

 ここは政治と一定の距離を置き、謙虚に真実を追究する「倫理と品性」を備えるための第一歩とするべきでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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