リーダーの遅すぎる決断
菅政権下の与党内では、このまま「Go To トラベル」事業を続けることにこう懸念の声が上がっていました。
「内閣支持率がさらに低下すると、1年以内に想定されている衆議院の解散、総選挙への影響が避けられなくなるだろう」
野党から〝下駄の雪〟と揶揄される公明党の議員は先日、新聞の世論調査で内閣支持率が前回の57%から40%へと17ポイントも急落したことを受けてこう語っています。
「世論の意向は『Go Toはやめろ』ということだ」
〝下駄の雪〟とは、権力を持っているほうにくっついていくという意味です。
菅政権は、それでもコロナ禍の感染防止対策と経済の再生の両立を掲げて「Go To トラベル」事業を続ける姿勢を見せていました。
しかし、冬場のコロナ禍の感染再拡大が現実のものとなり、新聞の世論調査で菅政権を「支持しない」が「支持する」を初めて逆転しています。
自民党の中堅議員は、こう焦りを隠せません。
「世論に敏感にならないといけない」
ベテラン議員は、こう吐き捨てます。
「菅政権はステイホームを唱えながら、その一方で『旅行に出かけよう』と言っている。これでは、あまりにもムチャクチャだ」
菅首相が12月14日、こうした声に押された形で「Go To」事業の一時停止を表明しています。
しかし、停止は直ぐにではなく12月28日からというスピード感のなさは相変わらずです。
感染拡大が勢いを増しているのは今であり、それが2週間後まで待ってくれるわけではありません。
しかも、全国での事業停止を年末年始に限っています。
菅首相は「苦境にあえぐ観光産業の下支えは不可欠」との意見に配慮したつもりでしょうが、国民の大半が思っている「国民の協力や理解がないと、コロナ禍対策で望むような結果は望めない」ということをわかっているとは思えません。
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