当たり前に納得せずに思考停止に陥らない


 近頃、メディアが伝えるニュースで気になる言い方があります。

「警察は慎重に捜査している」

 以前は少年事件や人権に関わる問題、政治家の犯罪など特別な事案に対して、この「慎重に」という言葉が使われていた気がします。

 もちろん捜査が「慎重」なのは当たり前で、いい加減な捜査などあってはならないでしょう。

 この点、深く考えずに「慎重に」を〝決まり文句〟を使っていると、それを使わないときは捜査が手抜きという印象を与えかねません。

 よって毎回、この言葉を使わざるを得なくなります。まさに、思考停止がもたらす落とし穴です。

 政治家や役所が使う常套句「法に基づいて適切に対応」という言い方も、おかしな使い方です。

 もちろん、法事国家ですから法に反して不適切に行う公務などあり得ないはずです。しかし、持っている言葉が乏しい菅首相は、日本学術会議の会員任命を拒否したとき「法に基づいて適切に対応した結果だ」と繰り返し述べています。

 当たり前のことを繰り返す行為は、「何も説明するつもりがない」と言っているのと同じです。

 日本学術会議法には、「(同会議の)推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」と書いてあります。

 この場合、「推薦に基づいて」を無視することは、法に基づいていると言えるのでしょうか? そもそも「適切」なのかどうかを判断するのは、当事者ではなく第三者のはずでしょう。

 菅首相が「法に基づいて」「法令違反はない」として説明を拒む

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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