今年は火球の当たり年


 百人一首の選者である藤原定家の日記「明月記」は、超新星爆発を初め世界的にも貴重な天文記録があることで知られています。

 その定家は、治承4年(1180年)年9月、京で巨大な火球を目撃したことを記録しています。

「夜半ばのころ、天中に光り物が現れた。大きさは、鞠のほどか。色は燃えるようで、躍るように南西から北東へ飛び、しばらくすると炉を打ち破ったように破裂した。火は空中に散って消えたが、もしや大流星か。驚き怪しんだ」

 先日の未明、東海から近畿、四国の広い範囲で映像にとらえられた火球とよく似た描写です。

 今回の火球は、燃え上がって破裂した瞬間に空全体を明るく照らし出しています。専門家によると、満月と同じ程度の明るさだったと推定されています。

 振り返ると、今年7月には関東や東海で大火球が目撃された後、千葉県習志野市などで火球のものと思われる隕石の破片が発見されています。

 火球の目撃と隕石本体の発見が同時になされたのは国内初といいますから、今年は火球の当たり年なのかもしれません。

 隕石は、その多くが太陽系が誕生した当時の様子を伝えるタイムカプセルだといわれています。

 この10月6日未明には、「はやぶさ2」が太陽系の成り立ちを伝える小惑星の砂を地球に送り届けています。

 次々にやってくる「宇宙からの便り」が、「私たちは、どこから来てどこへ行くのだろう」という思いも抱かせます。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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