肉もどきが地球温暖化を救うか?


 インゲンマメにその名を残す中国の禅僧、隠元和尚は江戸前期に来日し、万福寺(現京都府宇治市)を開いています。

 同寺には、テーブルに大皿で供される中国式の精進料理「普茶料理」が伝わっています。名物の一つが大豆や葛など植物性の素材で肉や魚に見立てた献立をつくる「もどき料理」です。

 中国では、古代から大豆が重宝されています。10世紀には、豆腐が肉の代わりに食べられていた記録が残っています。

「素菜」と呼ばれる精進料理のレストランでは大豆たんぱくを使い、見栄えも食感も肉そっくりに仕上げたメニューが売り物です。

 その中国に、大豆タンパクなどを原料にした米国産のハイテク「代替肉」が進出しています。健康志向のベジチキンやベジバーガーに使われ、「豆腐と代替肉のどちらが優秀か」などと話題を呼んでいるといいます。

 最新のバイオ技術を応用した代替肉は、本物とほとんど区別がつきません。肉文化の欧米では、さらに議論が高まっています。

 案の定、畜産業界はバーガーなど肉を連想させる言葉の使用に反対しています。ベジタリアン(菜食主義者)以外にも、消費が広がることを警戒しているのです。

 肉のうまさは、やはり捨てがたいものがあります。一方で、牛のゲップが地球温暖化の一因といわれるなど畜産の環境負荷は少なくありません。

 地球の将来を考えると、代替肉の普及は悪いことではないでしょう。

 日本でも、大手ファストフードチェーンなどが代替肉を使った商品の開発や販売を進めています。

 日本人は、古くから納豆やみそなど大豆加工品に親しんできたところがあります。欧米よりは、ひょっとして代替肉に対する抵抗感が少ないかもしれません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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