ポインセチアの赤い色が心を温めてくれる


 クリスマスを彩るポインセチアの出荷が今、最盛期を迎えています。原産国メキシコには、ポインセチアにまつわる物語があります。

 メキシコに、ペピタという貧しい少女がいました。クリスマスイブの夜、イエスさまの誕生日を祝うため何か贈り物をと考えましたが、それを買うお金がなく泣いていました。

 そんなぺピタを、従妹のペドロが慰めます。

「どんなにささやかなものでも、心がこもっていれば贈り物をもらった人はきっと嬉しいはずさ」

 ペドロの言葉に励まされたぺピタは、道端の草を摘んでブーケをこしらえます。恥ずかしさをこらえて、心を込めてつくったブーケを教会に持っていくと信じられないことが起きます。

 ブーケの草が、見たこともない真っ赤な美しい〝花〟に変わったのです。

 ポインセチア和名は「少女」ではなく、お酒が大好きな架空の動物「猩々(しょうじょう)」と関係があります。酔って真っ赤になった顔の色になぞらえて、「猩々木」と呼ばれています。

 この「猩々」は単なる酔っぱらいの妙な動物ではなく、赤い色の効力によって疱瘡などの病気から子どもを守ってくれると信じられています。

 ありがたい名前を頼って、一鉢ほしくなるコロナ禍の冬です。深く優しい赤の色は寒い季節に心を温め、落ち着かせてくれるはずです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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