今年2月、兜町の風雲児が亡くなっていた


 1980年代に「兜町の風雲児」と呼ばれた中江滋樹さんは、今年2月、東京の木造アパートの火災で焼死しています。享年66歳で、生活保護を受けていたといいます。

 中江さんは「投資ジャーナル事件」で知られ、投資家約7800人から580億円を集め、一部を返せなくなって詐欺容疑で捕まるまでの間、札びらを切ってバブル崩壊前夜を闊歩しています。

 金融スキャンダルといえば、「光クラブ事件」が思い浮かびます。学徒出陣した後、東大に復学した山崎晃嗣さんが起こした闇金融事件です。

 これを題材にした高木彬光さんの小説「白昼の死角」は、映画にもなっています。

 ノーベル文学賞の候補だった三島由紀夫さんも、山崎さんをモデルにした小説「青の時代」を書いています。山崎さんと同じころ同じ大学にいて、同じ授業を受けていたといいます。

 山崎さんの命日は、1949年11月25日です。死因は、服毒自殺です。三島さんは1970年の同じ11月25日、市ヶ谷の自衛隊に乗り込んで割腹自殺しています。

「精神と肉体の一体化」が求められた戦争を経2人は、奇妙なことに人生を部分的に交差させています。

 山崎さんは「一体化からは一歩距離を置くことに専念」し、三島さんは「一体化に自らを賭けた」のでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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