公助を出し惜しみすると〝自助の成り立たない社会〟になっていく

 菅首相は、臨時国会の所信表明演説で「自助・共助・公助」を目指す社会像と唱えています。

 しかし、「自助」が1番目に提示されたことについて、「困ったことがあっても、まずは自分で何とかしろと言われているようだ」と反発の声も上がっています。

 世の中、自己責任だけでは解決できない問題が増えています。

 菅首相の掲げる「自助」は、「まずは自分で何とかしろ」と聞こえます。それでダメだったら、国が支えるから安心しろと言いたいのでしょう。

 要するに「ダム決壊論」と同じ論理展開で、「自助」というダムが決壊したら「共助」のダムで支えます。「共助」のダムが決壊したら、最後に「公助」のダムがありますと言っているようなものです。

 しかし、困窮している人から見たら、まさに机上の空論でしょう。

 なぜなら、「公助」の対象となるときには、すでに「自分」も「周り」もボロボロに傷ついているからです。

 現実には公助を後回しにしてきた結果、困っている人も地域も崩壊し、2度と立ち上がれなくないような状況になっています。

 言い換えると、公助を出し惜しみするほど〝自助の成り立たない社会〟になっていくということです。

 菅首相は、なぜ最初に「みんなで助ける」と言えないのでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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