職業政治家は暴力のなかに身を潜めている悪魔のパワーと関係を結ぶ
ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは、講演「職業としての政治」でこう述べています。
「繰り返して言うが、およそ政治を行おうとする者はすべての暴力の中に身を潜めている悪魔の力と関係を結ぶのである」
現実の政治では善が善を生むとは限らず、ときに悪魔の好む行為が善き結果をもたらすこともあります。
講演「職業としての政治」は、行為の結果への政治家の「責任倫理」を求めたものです。
しかし、現実は善き結果を求めた悪魔との取引が悪魔を喜ばせるだけに終わることが多いというのも実態です。
ノーベル平和賞は、平和を希求する道義的なパワーが世界を変えるという希望を背負ったものです。
しかし、その栄誉が与えられた政治家でも、求める「結果」のために暴力に潜む悪魔との取引をためらわないことがあります。
ノーベル賞委員会は昨年、エチオピアのアビー首相にノーベル平和賞を授与しています。しかし、同国北部で続く戦闘をめぐって暴力の停止と平和的解決を求める異例の声明を出しています。
戦闘は、今も政府軍と北部ティグレ州を支配する勢力との間で続いています。
アビー首相は、隣国エリトリアとの紛争の解決でノーベル平和賞を受賞しています。しかし、11月に入って攻撃に出たティグレの軍事組織の掃討を政府軍に命じています。
戦闘激化で隣国のスーダンには約3万人の難民が流入し、コロナ禍のなかで衛生状態などへの懸念が広がっています。
ティグレ州内は今、情報途絶の状態が続いています。国連機関は、この情勢を「全面的な人道危機」と断じています。
ともかく、ノーベル平和賞を受賞したアビー首相は悪魔の誘いに乗って難民の暮らしを奪い、平和を求める道義のパワーを傷つけたことだけは間違いありませ
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