考え方の違いで対立し、それが過激になっていくのは政治の宿命


 政治の潮流で、今や「分断」は米国固有の問題ではなく、世界的に政治を形容する定型句となっています。

 その源泉ともなっている欧米を席巻しているポピュリズムは、いったいどこに行き着くのでしょう。

 トランプ政権の1期目は、政策ではなく存在感で政治の潮流を変えています。トランプ大統領は、みずから率先して常識を打ち破っていっています。

 政治の世界に、〝トランプは伝染する〟という言い方があります。

 トランプ大統領はアメリカ社会の分断に寄りかかり、相手を罵り、なりふり構わず叩きのめそうとします。

 その手法で、友か敵かの対立を先鋭化させています。

 トランプ大統領の政策ではメキシコからの不法移民を阻止するための壁を国境につくったり、イスラム教徒の入国を禁止したりする大統領令を出すなど関心を集めた政策も少なくありません。

 気候変動をめぐるパリ協定からの離脱、イラクからの撤退、コロナ禍でのWHO(世界保健機関)からの脱退の決定もあります。

 ただ、政策や制度レベルでの具体的な実現は、三権分立が徹底している米国では意外に難しかったでしょう。

 しかし、こうした動きは、トランプ大統領によるというよりも米国のヘゲモニー(覇権)の衰退という長期的な傾向の延長線上にあると考えたほうが的を得ているでしょう。

 実際、オバマ政権時にも米国はユネスコがパレスチナの加盟を承認した際、拠出金を止めています。

 衰退する米国が世界的な〝公共財〟を提供する力を失い、そのコストに耐えられなくなているのです。これは、歴史学者ウォーラーステインが指摘する100年単位の覇権の変化の流れでしょう。

 こうした考え方の違いで対立し、時にそれが過激になっていくのは政治の宿命のようにも思えます。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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