春の予感がしない米国


 歌人で、彫刻家だった高村光太郎の有名な詩があります。

「きつぱりと冬が来た 八つ手の白い花も消え 公孫樹(いちょう)の木も箒になつた」

 米国大統領選挙長い闘いを振り返ると、米国の苦悩と悲しみを感じてしまいます。

 テレビ討論会では、トランプ大統領が民主党のバイデン候補の発言を何度も遮り、持論をまくし立てています。相手への思いやりや敬意もなく、意見を異にする者への憎しみと怒りだけをぶつけています。

 投票の前日には、商店が選挙の結果によっては起きかねない暴動や略奪を恐れてショーウインドーや店の入り口をバリケードでふさいでいます。

 分断の時代と言われて久しいのですが、もはや分断を超えて選挙戦の結果さえ受け入れられない敵意の時代に入ったのでしょう。

 あのバリケードが、まさに酷い時代を迎えた米国民の冬ごもりのように見えてしまいます。

 分断の冬を迎え、悲しいことに春の予感がしません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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