米国大統領選の結果が今後の世界の枠組みを決める


 1975年11月、パリ郊外で日米欧の先進6か国が初の首脳会議(サミット)を開いています。

 世界を揺るがせた石油危機対策を協議していますが、すんなり開催されたわけではありません。サミットを提唱したフランスには、西側の盟主であった米国を牽制する狙いもあったのです。

 だから、米国のフォード米大統領は警戒して参加を渋っています。

 しかし、会議が始まると危ぶまれた宣言もまとまり、危機克服に不可欠な協調で合意しています。

 西ドイツのシュミット首相(当時)は、6か国の首脳が共有した思いを回想録につづっています。

「全ての国を襲っている危機が30年代の危機のように万人の万人に対する闘争になってはならない」

 そこには、恐慌後の自国優先主義が大戦を招いた歴史を繰り返してはいけないという決意が書かれています。

 11月下旬には先進国に中国なども加えた主要20カ国・地域の首脳会議がオンラインで開かれる予定です。

 世界は今、コロナ禍で1930年代に起こった世界恐慌以来の不況という状況に見舞われています。

 一段の結束が求められるはずですが、米中は自国利益を優先して世界経済の舵取りで足並みが揃いません。

 米国が今年主催する先進国サミットに至っては、その日程すら決まっていません。トランプ大統領がコロナに勝ったアピールの場にしようと企て、欧州勢が「大統領選に利用される」と嫌がった結果だといいます。

 先進国サミットの最初の会議について、シュミット大統領(当時)はこうも記しています。

「誰も国内政治に利用しなかった。落ち着いた態度の米国のリーダーを目の当たりにした」

 世界が協力してコロナ禍を乗り切れるかも、米国次第です。

 米国大統領選はその結果をめぐって混迷が続いていますが、世界中が何時にも増して新しい大統領(ほぼバイデン大統領で決まり)が下すだろう超大国の選択に注目しているのです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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