COVID-19の経済的損失は今年7月時点で最大16兆ドル(約1670兆円)に上る


 国連(UN)の専門家組織は10月29日、こう警告を発しています。

「人間が自然界とのつき合い方を変えないかぎり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)よりも多くの死者を出し、世界経済に深刻な悪影響をおよぼすパンデミック(世界的な大流行)が頻発するようになる」

 生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と各国政策の繋がりを強化するための政府間組織「IPBES(生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)」の特別報告によると、新型コロナウイルスのように動物を宿主とし、ヒト感染の恐れがあるウイルスは、今のところ最大で85万種が存在するといいます。

 同報告書は、こう指摘しています。

「動物たちの生息地が破壊され、消費活動が拡大を続けていけば動物由来の感染症がヒトに感染する確率は今後、これまでよりずっと高まる」

 こうしたパンデミックは、人類の〝存続に関わる脅威〟を意味しているとも述べています。

 感染症予防に取り組む国際NPO「エコヘルス・アライアンス」の代表で、特別報告書を作成したIPBES専門家ワークショップを取りまとめたピーター・ダザック氏はこう語っています。

「気候変動と生物多様性の損失を引き起こす人間活動が、農業への影響を介してパンデミック発生の危険性をもたらす」

 IPBESは、COVID-19について1918年のインフルエンザ(いわゆるスペイン風邪)大流行から数え6つ目のパンデミックだとしたうえでこう指摘しています。

「その全ては、完全に人間の活動が引き起こしたものだ」

 こうした人間活動には、森林伐採や農地開拓、野生生物の取引と消費といった持続可能でない開発が含まれています。いずれも動物と人間との濃厚接触の機会を増やし、動物の保有する病気と人間との距離を縮めることに繋がっています。

 IPBESは、こう警鐘を鳴らしています。

「毎年5つ前後の新たな感染症がヒト間で発生し、そのどれもがパンデミックに発展する可能性がある」

 第一線の専門家22人が参加してリモート形式で開催されたIPBES専門家ワークショップでは、パンデミック再発リスクを低減するため各国政府が取れる対策を取りまとめらいます。

 専門家らは、COVID-19の経済的損失は今年7月時点で最大16兆ドル(約1670兆円)に上ると試算しています。

 そして「将来的なパンデミックを予防する対策を講じるほうが、パンデミック発生後に対処するより100倍も経費を節減できる」とし、これは「社会変革に向けた強力な経済的動機となる」との見解を示しています。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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