少子化の「寒さ」は「うそ寒」を過ぎている


 厚生労働省によると、今年5月から7月にかけて受理した妊娠届が前年同期に比べて11・4%のマイナスになったといいます。

 コロナ禍での感染拡大の影響や経済情勢の悪化などで、出産をためらう空気が広がっているのでしょう。

 コロナ禍は生きている人の生命を奪うだけでは飽き足らず、新たな生命をこの世に送り出すことにさえ人を臆病にしてしまうということでしょう。

 この結果、来年の出生数は大幅な減少が予想されます。歯止めがかからない少子化に、コロナが拍車をかけています。

 俳句の季語「うそ寒」は、秋の半ばから晩秋にかけて何となく感じる寒さのことです。

「うそ寒」のうそは、「薄」からきています。

 俳人の小林一茶の句に、やるせない作品があります。

「うそ寒や 親といふ字を 知ってから」

 一茶は、遺産をめぐって義母との折り合いが悪かったといいます。

 ところで、少子化の「寒さ」はもはや「うそ寒」を過ぎているのかもしれません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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