ラーメン屋にとって終電の10分、20分の差が死活問題
JR西日本に続き、JR東日本も来春に予定する首都圏17路線の終電時刻繰り上げの概要を発表しています。
そのうち、山手線の繰り上げ幅は最大20分程度といいます。また繰り上げ時間が最大となる青梅線と高崎線では、37分程度早まることになります。
コロナ禍による深夜帯の利用減で弾みのついた終電繰り上げですが、鉄道会社によると繰り上げは線路などの保守点検時間の確保のためにも必要になっていたといいます。
終電繰り上げは、作業員不足と過密ダイヤによる工事量増加の狭間での打開策のようです。
終電時刻は、戦後の経済発展とともに遅くなったと思われがちです。
しかし、戦前の1933(昭和8)年の山手線の渋谷駅の終電は内回り外回りとも午前1時台で今より30分以上も遅かったのです。
戦前の日本人も結構、〝宵っ張り〟だったということです。
深夜残業を厭わないモーレツ社員は、今は昔の話です。
しかし、外国人観光客のニーズに応じた終電時刻延長実験が行われ、五輪期間中の終電延長が検討されたのは今年初めのことです。
風向きを逆転させたのは、コロナ禍の襲撃です。それは、潜んでいた社会的変化と課題とを浮き彫りにしています。
この件で、ラーメン屋の店主はこう嘆いています。
「終電の10分、20分の差がラーメン屋にとっては死活問題です」
しかし、困っているのはラーメン屋ばかりではありません。あらゆる業種が、コロナ禍の〝ふるい〟にかけられているのです。それは、顧客にとって必要か、必要でないかという〝ふるい〟です。
つまり、顧客に選択されないところは消え去っていく〝運命〟なのです。
バブル崩壊やリーマン・ショック後、たとえばそうした〝ふるい〟にかけられた値段が高いだけのフランス料理屋は業界から消え去っています。
ラーメン屋にしても、今回のコロナ禍で、いたずらに奇を衒っただけで〝フードロスの見本〟のようなラーメンを顧客に提供しているところはアッという間に消え去ると思われます。
もちろん、顧客の生活にとって必要のないラーメンだからです。
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