日本のコロナ禍の現状は増加と減少が拮抗する


 第1次世界大戦が終結した1918年11月11日は、スペイン風邪の第2波の流行が欧州を襲っている真っ最中でした。

 第2波は9月から欧州各国で広がり、第1波よりも飛躍的に高まった毒性で死者を激増させています。

 欧州の各都市では劇場などが閉鎖されましたが、和平に関心が集まったパリでは劇場もカジノも開かれ、市民は夜の歓楽をためらわなかったといいます。

 パリでは10、11月の2カ月の間に感染が原因とみられる死者を1万4000人以上も出しています。

 このとき詩人、小説家で美術・文芸評論家でもあったギヨーム・アポリネールも38歳で亡くなっていますが、彼の名前が病名に用いられたのは同じ壮年層の死者が突出して多かったためだといいます。

 なおアポリネールは、ピカソやブラック、ローランサンなど〝新しい画家たち〟を絶賛した評論家です。

 欧州では今、新型コロナウイルスの感染者が急増し、フランスではパリなど主要都市で夜間外出禁止令が出るなど各国は「第2波」の対策に追われています。

 欧州全体の1日当たりの新規感染者数は、米国やブラジル、インドの総計を超えたといいます。

 流行の「第2波」という言葉が欧州の人々に呼び起こすのは、悪夢のような歴史的記憶なのでしょう。

 これから冬にかけて感染拡大を制御できるかどうか、欧州という文明が迎える試練の冬です。

 全世界の感染者数は、すでに4000万人を超えています。専門家によると、日本の感染状況は増加と減少が〝拮抗〟している微妙なバランスにあるといいます。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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