「ゆるキャラ」が子どもの寂しさを和らげている


 いわゆる「ゆるキャラ」という呼称を最初に使ったのは、イラストレーターのみうらじゅんさんです。2000年11月、広島・国民文化祭のときのことです。

 その後、「ひこにゃん」(滋賀県彦根市)、「くまモン」(熊本県)で「ゆるキャラ」ブームに火が点き、今では「日本ご当地キャラクター協会(彦根市)」への登録数は全国で約230にも上っています。  

 実際は、その何倍ものキャラクターが生まれています

 しかし、コロナ禍で各地のイベントが次々と中止になり、「ゆるキャラ」の出番も激減しています。

 そんななか、専門医で作る「日本小児がん研究グループ」(JCCG)から同協会に依頼が入っています。

「がんの子どもに向け、キャラクターからメッセージがもらえないでしょうか」

 がんになると、抗がん剤の影響で免疫力が落ちます。

 がんの子どもはコロナ禍の感染予防のため家族との接触さえ制限され、週末外泊や一時退院も難しいのが現状です。

 そんなストレスから、涙もろくなる子どももいるといいます。

 JCCGのホームページを見ると、寂しさと闘っている子どもたちへのメッセージが載っています。

「いつも心からワシら応援してるで」

「応援しちゅうきねぇ」

「大好きな人たちと、ぎゅーってできることが当たり前になる日まで、笑顔を忘れずに」

 白血病で九州大学病院に入院する14歳の女の子から先日、JCCGに感想が送られてきたといいます。

「方言の応援が励みになりました」

 この病院は今でも面会禁止で、親も病棟に入れません。

「ゆるキャラ」という呼称の誕生から20年が経ち、「ゆるキャラ」が子どもの寂しさを少し和らげているのは事実でしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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