ブラックホール化する〝1強政治〟


 今年のノーベル物理学賞は、ブラックホールの研究に成果を上げた科学者3人が受賞しています。

 観測が困難なブラックホールは、強大な重力で光すら吸い込んでしまうとされています。その中心には、通常の物理法則が成立しない「特異点」があるといいます。

 永田町や霞が関も、宇宙の暗黒のように内部で何が行われているのかうかがい知れません。

 どうも、その中心には常識が通用しない〝特異点〟があるようです。

 日本学術会議の会員候補6人の任命を政府が拒んだ問題では、法や規則に基づいた手続きが執られたはずです。

 しかし、〝観測〟が進めば進むほど謎は深まっていくばかりです。

 政府は1983年、この件で「(推薦は)拒否しない」と国会で答弁しています。

 だが、これに反する今回の拒否の理由を示さないばかりか、2018年に「首相が推薦通りに任命する義務はない」ことを確認したという内部文書を公表しています。

 さらに日本学術会議は政府機関なので「首相は行政各部を指揮監督する」(憲法72条)、「公務員の選定、罷免は国民固有の権利」(憲法15条)だから「国民に責任を負えない任命はできない」と正当化する始末です。

 こじつけのように憲法を持ち出す一方で、「学問の自由」(憲法23条)の侵害との批判は「全く関係ない」(菅首相)と一蹴しています。

 安倍前政権は「もり・かけ・桜」など不都合な問題は正面から答えず、詭弁や強弁、摩り替えでかわしてきています。

 菅政権は、強大な権力で正論やモラルを闇に吸い込む〝1強政治〟の法則だけは受け継いでいるようです。



八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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