日本政府の文書管理の杜撰さ


 終戦の5日後、憲兵隊司令部から各部隊に注意を促す通達がなされています。

「思わざる失態を演じるな」

 終戦前日に命じた文書焼却についての念押しで、微に入り細を穿っています。

 たとえば引き出しの奥に貼りついた文書や棚の奥に落ちた文書、焼却物の焼け残り文書や周囲へ散した文書、私物の本へ挟んだ文書など箇条書きで点検を求めています。

 終戦時の文書焼却は軍だけでなく、内務省や外務省などでも行われえいます。それは、市町村の書類にも及んでいます。

 内務省の焼却は3日3晩に及び、外務省は8000冊を焼いたといいます。そして、焼却された文書とともに明治国家は軍人や役人の戦争責任を煙に変え、炎とともに滅んでいます。

 今夏は、終戦から75年の節目にコロナ禍という世界的試練のなかで迎えることになりました。

 コロナ禍は、行政文書による記録を義務づける「歴史的緊急事態」に指定されています。しかし、後日の検証や将来の感染症対策に資する記録がなされている疑問です。

 そう疑うのは、安倍政権の公文書管理のでたらめをぶりを見せられてきたからです。

 振り返ると、外国の文書公開で自国の密約外交を知った日本の「戦後」でした。75年を経ても、日本国民はその事績を公文書で検証できる政府を築けないというのも情けないかぎりです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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