政治家は無舌の境地になって心で語れ
明治期に東京を襲ったコレラ禍で、落語や歌舞伎などの興行はすべて休業になっています。
その時期、幕末から明治にかけて落語界を牽引した三遊亭円朝は家中の衣類を質に入れ、困窮している他の落語家を援助したといいます。
円朝が創作自演した「牡丹燈籠」や「真景累ケ淵」といった長編の怪談噺は歌舞伎や講談にもなり、今でも夏の風物詩となっています。
また円朝は、幽霊画の収集でも知られています。墓所である東京谷中にある全生庵では毎年8月の1か月間、幽霊画のコレクションが展示されています。
その円朝に大きな影響を与えたのが、全生庵を建立した山岡鉄舟です。鉄舟は、円朝にこう説いています。
「舌ではなく心で語らなければ噺は死ぬ」
のちに円朝は、〝無舌の悟り〟を開いたといいます。
亡くなった後、京都天竜寺の滴水禅師から「無舌居士」の号を得て、墓石にも刻まれています。
安倍政権の政策は今、舌の根の乾かぬうちにコロコロ変わっています。
無舌の境地で心から語る政治家の姿は見えず、振り回される国民はたまったものではありません。
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