BLM運動が日本に問いかけること


 テニスの大坂なおみ選手は全米オープンに毎試合、黒人差別反対の黒いマスク姿で出場し、こう問いかけています。

「あなたはどんなメッセージを受け取りましたか」 

「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動が告発するのは、米国社会での黒人の生き辛さでしょう。

 なおBLMとは、「黒人の命は大事だ」という意味です。

 その始まりは、もちろん400年前、海の向こうから奴隷として無理やり連れてこられた黒人に対する強制です。

 やがて黒人奴隷は解放され、公民権が与えられています。

 しかし、時代ごとの合法的な制度が黒人差別の構造を温存してきています。

 黒人差別反対者たちが起こしている抗議デモでの「400年、続いている」という魂の叫びは、その歴史の源流が今でも続いていると訴えているのです。

 BLM運動が波及した英国でも、植民地主義者たちの銅像が破壊されています。

 もちろん、その問いは日本人にも向けられています。

 日本にも朝鮮人を当人の自由な意思に反し、海を越えて連れてきて働かせた歴史があります。

 条約を結び、法律に基いて形式的な同意を得たといっても、構造的な支配の仕組みを使ったやり方は黒人差別の歴史と重なります。

 菅首相は元徴用工問題で冷え込む両国関係を「放置してはいけない」としながらも、韓国側に「適切な措置を求める」という立場を強調しています。

 合法的であることは重要ですが、万能でも不変でもありません。「完全かつ最終的解決」を取り決めた日韓基本条約も、時の国際情勢と日韓トップによる〝政治決断〟の産物だったのです。

 BLM運動は米国史にとどまらず、世界中の支配し支配された歴史に対する問いかけでもあります。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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