安倍前政権の円安政策は〝目くらまし〟だった


 35年前、日本経済を大きく変える秘密会合がニューヨークで開かれています。  

 その秘密会議で、米国の貿易赤字を減らすため日米などが為替を円高・ドル安にする「プラザ合意」が成立しています。  

 竹下登蔵相(当時)は記者や経済人の目をくらますためゴルフバッグを抱えて自宅を出て、まず成田空港近くでプレーした後、それから日本人が多い日航機を避けて米国の航空会社を使って渡米しています。  

 日本は手の込んだ芝居を打ってまで秘密会合に参加しましたが、その後は翻弄され続けています。  円高が想定以上に進み、大幅な金融緩和を余儀なくされたのです。結果的にカネ余りがバブル経済を招き、その後遺症に長く苦しんでいます。  

 トランプ大統領は、秘密どころか露骨にドル安を求めています。貿易赤字削減と自国優先を掲げ、一時は米国だけで為替市場に介入し、一方的にドル安に導く異例の強硬策も検討していたといいます。  

 安倍前政権は、トランプ大統領がドル安を口にするたびに肝を冷やしています。  

 理由は、アベノミクスの目玉である円安が景気回復と株高の前提になっていたからです実際。円高が進みそうになると、だった菅義偉官房長官が市場を牽制する発言を繰り返しています。 

「為替管理は重要な危機管理でる」   

 安倍政権下の円安で儲けたのは、輸出を増やした大企業が大半です。多くの働く人には十分還元されず、賃金も消費も伸び悩んでいます。 

 菅新政権は、アベノミクスの継承を掲げています。  もう円安で景気が回復したように見せる〝目くらまし〟は使わず、それこそ国民のために働いてほしいものです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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