コロナ禍で過剰なクリニック(診療所)の淘汰が始まる


 コロナ禍の感染拡大が本格的に始まった3月以来、街のクリニックから患者の姿が消えて1日の患者数が1桁という日も珍しくないといいます。  

 多くの患者が今、感染を恐れて〝不要不急〟の受診を控えてからです。結果、収入減に喘ぐクリニックが続出しているのです。   

 東京保険医協会の調査では、昨年の同時期と比較して9割以上のクリニックは患者が減っているといいます。とくに影響が大きかったは、耳鼻咽喉科や小児科のクリニックです。  

 厚生労働省は、これまで再診のみで認めていた電話やネットを使った遠隔診療を期間限定で初診から公的保険を適用できるようにしています。  

 コロナ禍を機に遠隔診療に参入したクリニックも多かったのですが、こういう声が上がっているのです。 

「保険点数が低過ぎるし、検査もできず外来の管理料も取れないので通常の対面診療の半分の儲けにもならない」  

 ただ、患者が戻ってこないということは、いかに日頃から無駄な受診が多かったかともいえます。  実際、こんな声もあります。 

「重症患者の多い在宅医療などでは、コロナの影響は少なかった」  

 コロナ禍は、クリニックにとって自院の存在意義が問われる事態だったことは間違いありません。  医療関係者は、こう口を揃えます。 

「いわば〝不要不急〟のクリニックは、運転資金が尽きたところか潰れていくだろう」  

 これまで開業医は、勤務医に比べて供給過多といわれてきました。  

 厚労省は、昨年から「外来医師多数区域」というものを公開しています。  

 要するに、この区域は開業医が過剰な〝レッドオーシャン〟なのですが、都市部に多いといわれています。  

 クリニックの淘汰は、まずここから始まるというのが大方の予想です。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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