危険な外交のバージョンアップ


 1970年代、映画などの本編に対して続編を「パート2」や「パートⅡI」と呼ぶ表現が広く使われ出しています。  

 74年公開の米映画「ゴッドファーザーPARTⅡ」は記憶にありますし、山口百恵さんのヒット曲「プレイバックPart2」も思い出されます。  

 2000年代以降は、パート2よりもコンピューター用語の「バージョン2・0」や「2・0」という表現が好まれている傾向があります。  

 ソフトウエアの更新で、「1・0」をバージョンアップしたものを「2・0」と呼ぶ機械的な響きが当世風なのかもしれません。  

 最近、この「2・0」をめぐるニュースが急速に増えています。とくに海外メディアで、 米国と中国の対立をかつての米ソ冷戦に比して「コールド・ウオー(冷戦)2・0」と表現する傾向が目立っています。  

 米中関係が、それほど〝のっぴきならない〟ところにまできているということでしょう。  米国がテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命令すると、中国は報復として四川省成都の米国総領事館の閉鎖を要求しています。  

 しかも、両国の対立は日を追うごとに先鋭化してきています。米国のポンペオ国務長官はニクソン政権以来の対中政策の見直しに触れ、対中包囲網を提唱しています。  

 ただ、世界は平和や協調に役立たない無用の「バージョンアップ」など望んでいないでしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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