金星に生命の可能性


 1960年ごろ、手塚治虫さんのSF漫画「0(ゼロ)マン」に人類が移住しようと金星を訪れる場面が出てきます。  

 金星の泥の海に浮かんだ島に着陸すると、密集してからまった木の枝のなかに半分リスのような金星人が住んでいます。   

 漫画「0マン」が描かれた当時、金星の表面は巨大なシダ植物が生い茂る約3億年前の地球のような湿潤な環境と思われていました。  

 とにかく、人類の移住先としては火星よりも金星が有望視されていたのです。  

 しかし、1960年代からの惑星探査で金星の表面は気温450度、90気圧という高温高圧の死の世界と判明しています。

 上空には硫酸の雲がかかり、すさまじい風が吹く悪夢のような世界です。  

 先日、英科学誌に掲載された米英日の研究チームの論文によると、地球上では嫌気性の微生物によって作られる「ホスフィン」というガスが金星上空の大気に含まれていることがわかったといいます。  

 地球以外で、このガスの発見は今まで例がありません。   

 金星に生命が存在することが証明されたわけではないのですが、この星にホスフィンを生み出す未知の化学現象があるのは確かなようです。  

 米航空宇宙局(NASA)の長官は、このニュースに地球外生命体の探査史上で「最大の進展」だとツイートしています  金星は太古には海があったという説もあり、「地球の双子」とも呼ばれています。  

 それが二酸化炭素の温室効果で灼熱の星になったことは、地球がその轍を踏む恐れも連想させます。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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