アベノミクスは〝模造品〟の経済政策だった


 フランスの作家モーパッサンの短編「首飾り」は、こんな内容です。  

 ある女性が舞踏会に招待されましたが、残念ながら身に着ける宝飾品を持っていませんでした。女性は資産家の友人にダイヤの首飾りを借りましたが、その首飾りをなくしてしまいます。  

 必死に捜しても首飾りは見つからず、女性とその夫は、多額の借金をして似た首飾りを買い求めます。そして、紛失した事実を隠したまま買った首飾りを友人に返します。  

 その後、女性は借金を返すために身を粉にして働きます。謝金を返し終えた10年後、すっかりやつれていました。  

 ある日、女性は友人に事実を明かします。驚いた友人は、こう女性に告げます。 

「あれは安物の模造品だったのに」  

 女性にとって、それまでの10年間は何のための苦労だったのでしょう。  

 人生では、誰もが多少の差はあっても似たような経験があるはずです。  

 ところで、安倍首相の連続在職日数が佐藤栄作元首相を抜いて憲政史上最長となりました。  

 ただ、安倍首相が自負していたアベノミクスは、ひょっとして〝模造品〟の経済政策だったのかもしれません。  

 なぜなら、アベノミクスで株価が上がっても、国の税収が伸びても喧伝された「生活の豊かさ」はいつまで経っても実感できなかったからです。  

 本物の衛材政策だったのなら、誰もが生活の豊かさを実感していたはずです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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