テレワークの課題


 コロナ禍の感染拡大で今、テレワークの利用が広がっています。  内閣府によると、テレワークを経験した人の割合は全国で34・6%に上ります。東京23区では、さらに割合が上がって55・5%に達しています。  

 テレワークは通勤の満員電車から解放され、子育てや介護との両立、地方の雇用創出に繋がる効果も期待できます。ただ、急ごしらえで導入した企業が少なくなく、課題も残っています。  

 パソコンを持ち帰り、自宅の通信環境で仕事をするとなるとサイバー攻撃に遭遇するリスクが高まります。対策としては、社員だけが使える通信網を整備するもことも欠かせないでしょう。   

 日本の住宅は狭く、もちろん在宅勤務によって光熱費や通信費も増えます。そうした費用を助成したり、本社を縮小してサテライトオフィスを配置したりする配慮も求められます。  

 勤務時間の管理や人事評価の見直しも、むろん必要でしょう。  

 テレワークの長所は、時間に縛られずに働けるところです。  

 ただ、日本労働組合総連合会(連合)の調査によると残業や休日労働を申告しなかった人の割合が65・1%にも上っています。勤務時間を証明しにくいため、報告を控えがちになるようです。  

 今後、従業員を評価するとき勤務時間よりも成果を重視する傾向が強まるはずです。その場合、能力や勤務時間に見合う業務内容と目標を明確にしておくことが前提となるでしょう。  

 ウェブ会議での言動が部下を傷つける「テレワークハラスメント(テレハラ)」という言葉も生まれ、コミュニケーションにも配慮が欠かせません。  

 意思疎通が適切でないと、生産性の低下や不公正な評価をもたらしてしまいます。  

 一方で、顔を合わせて進めた方がやりやすい業務もあります。出社と在宅とを柔軟に使い分けて、効率を高める工夫も必要になるでしょう。  

 中小企業は、テレワークの環境整備が遅れています。政府の補助金などを活用し、機材の配備や押印の廃止、文書のデジタル化を進める必要もあります。  

 とにかく、労使が知恵を出し合って新たな働き方を模索していくしかありません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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