画期的な少年犯罪の判決


 米東部バージニア州で、16~17歳の少年5人がアフリカ系米国人の子どもが通う学校の校舎に人種差別的な落書きをしたとして器物損壊と不法侵入の罪で起訴されました。  

 検察によると、少年5人は昨年9月30日、同州アシュバーンの学校の校舎に侵入してナチス・ドイツのかぎ十字や猥褻な内容、「ホワイトパワー」などの落書きをしていました。    

 現場は、地元のアフリカ系米国人の子どもたちのために1892年に設立された教会付属の学校でした。  

 画期的だったのは、少年家庭裁関係地方裁判所のアベリーナ・ジェイコブ裁判官が2月上旬、読書や映画鑑賞を通じて世界観を広げるよう命じる判決を言い渡したことです。  

 判決では、課題図書としてハーパー・リーの「アラバマ物語」、エリ・ヴィーゼルの「夜」、チヌア・アチェベの「崩れゆく絆」などを指定しています。  

 そして少年5人に、このなかから選んで今後12カ月かけて1カ月に1冊ずつ読み、感想文を提出するよう命じたのです。  

 読書に代えて映画を鑑賞することも認め、「シンドラーのリスト」「それでも夜は明ける」などの作品を指定しています。  

 さらに、米ホロコースト博物館とアメリカ歴史博物館を見学して、自分たちの落書きがアフリカ系米国人の社会でどう受け止められたかに関する論文を書くよう指示しています。  

 この判決の内容は、連邦検察のアレックス・ルエダ検事が提案したといいます。元司書の母をもつルエダ検事は、こうした作品から戦争や差別について多くを学んだといい、少年たちにも学んでほしいと思ったと語っています。 

「世界で人々がジェンダー、人種、宗教の名の下にどれだけひどいことをしてきたか、目を見開いてほしい」  

 日本の少年犯罪の裁判でも、参考にするところも多いでしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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