コロナ禍の今年、複合災害に備える


 笑いを呼ぶ経験則である「マーフィーの法則」の一例に、こういうものがあります。

 「うっかりトーストを落とすと、バターのついた側が下になる」  

 もともと英国の諺とも言われ、「ソッドの法則」とも呼ばれています。  

 わかりやすく言うと「起こりうる悪いことは、起こる」のがマーフィーの法則で、さらに「それはよりによって最悪のときに起こる」というのがソッドの法則です。実際、落としたトーストのバターが床につくのはカーペットが新品のときほどありがちです。 

「悪いことは悪いときに起きる、不幸は重なる」という最悪な事態をブラックな笑いに包む英国風の経験則で、英国には似た意味で「降れば土砂降り」という諺もあります。  

 しかし、コロナ禍に見舞われている日本では「最悪事態」「土砂降り」をとても笑えるような状況ではありません。  

「複合災害」とは、コロナ禍の感染拡大と豪雨や地震など自然災害が重なって起こる感染爆発などの災害を指しています。防災にかかわる58学会でつくる防災学術連携体は、この複合災害への備えを求める緊急メッセージを発表しました。  

 近年、一昨年の西日本豪雨や昨年の台風19号など夏から秋にかけて記録的な豪雨災害が続いています。コロナ禍の長期化が見込まれるなか、メッセージは公的避難所の感染防止対策を求め、市民に知人宅への避難の検討なども呼びかけています。  

 かねてから課題だった避難所の劣悪な環境の改善を、待ったなしにしたコロナ禍です。「降れば土砂降り」が今や普通となった災害列島に、さらに人が防ぐべき不幸を積み重ねるようなことがあってはならないでしょう。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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