東京アラートと不要不急な業種の復活


 都内での新型コロナウイルスの感染者増を受けて6月2日、都民に警戒を呼びかけるアラートが発動されました。  

 それに呼応して灯ったレインボーブリッジや都庁の赤いライティングが怪談話に出てくるような〝不気味さ〟で、始まったばかりの社会活動や経済活動に〝急ブレーキ〟がかけられた気分でした。   

 新たな感染者の半数以上は感染経路が不明だといいますが、アラートの発動が直ちに休業要請を再スタートするわけではありません。  

 ただ、感染の動向を警戒しながら社会活動や経済活動を進めていく難しさを改めて思い知らされた人も少なくないでしょう。  

 府が推奨する「新しい日常」を構築していくにしても、豊かな日常を獲得していくには「3蜜」の典型とされるライブや劇場、寄席など〝不要不急〟な業種の復活が欠かせないと思います。  

 物好きが夜集まって怪談を語り合う「百物語」は、江戸時代前期に始まったとされています。 

「百物語」では油皿に火の点いた100の灯心を並べられ、怪談がひとつずつ語られるたびに灯心も1本ずつ抜かれていきます。  当然、部屋はだんだん暗くなり、やがて火の点いた灯心も最後の1本になります。   

 今では、幽霊は夏にふさわしいというのが当たり前のようになっています。ただ、それは歌舞伎が暑い盛りの不入りの対策に刺激の強い怪談を演目にしたためといわれています。つまり、芝居小屋の都合が怪談を夏の風物詩にしたのです。  

 今、コロナ禍に苦しんでいるエンターテインメント業界も、かつての芝居小屋のように知恵と工夫でコロナ禍の困難を克服してもらいたいものです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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