ゼウスの呪いをかけられたエピダウロスの杖
古代ギリシャのエピダウロスの遺跡は、美しい円形劇場が有名です。世界遺産にも指定され、古代ギリシャ人が病気の治療に訪れた医神アスクレピオスの神殿があった場所でもあります。
そこを訪れた患者が聖所で眠ると夢に神が現れて治療法を告げ、それに従って祭司が治療に当たっていました。発掘された碑には、何十人もの患者の治癒実績が書き記されていたといいます。
医神アスクレピオスは、もとは人でしたが全能の神ゼウスに殺されています。理由は、人が病気を治す術で助け合うことをゼウスが嫌ったからです。
古代ギリシャでは、春に地中から現れるヘビは再生と不滅の象徴でした。患者のなかには、神が連れてきたヘビが患部をなめた夢だけで治った者もいるといいます。
この医神アクレピオスが持つヘビが絡みついた杖こそ、今でも医療のシンボルとなっている「アスクレピオスの杖」です。
その杖をシンボルマークにしているのは、世界保健機関(WHO)です。WHOは今、新型コロナウイルス発生源の調査や感染拡大の責任、WHOの中国寄り姿勢や台湾の参加問題などをめぐって米中対立の〝プロレスのリング〟と化しています。
総会では、中国が欧州などの求める発生源の調査受け入れに同意しました。しかし、それも感染が収束した後の話です。
WHOはコロナ禍感染拡大の初動対応への調査受け入れを表明しましたが、台湾のオブザーバー参加は認めませんでした。
ゼウスの呪いをかけられたのか、コロナ禍で人類の団結が最も求められるとき国家のエゴや政治家のエゴの前に竦んでしまっています。
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