安倍政権の忖度政治が法事の根幹を歪めている


 中国の楚の国では、馬車や牛舎など車で王宮の内門に入るのが禁じられていました。ある日、王に呼ばれた太子が大雨による冠水を避けて馬車で内門に入ると、これを咎めた役人が馬車を壊してしまいました。太子は、父親である王に役人の処罰を求めました。  

 しかし、楚王は「これぞ法を守る臣だ」と太子や自分の権力を恐れない役人を昇進させたのです。これは、法こそが国の根本と説く古代中国の「法治」の書「韓非子」にある説話です。  

 一方、東京高検検事長の定年延長問題では、安倍政権の「本来あって当然の記録文書がないグレーゾーンに行き着くパターン」という〝お約束の展開〟になっています。  

 法相は子国会答弁で定年延長を認める法解釈変更は口頭で決裁したと述べていますが、他ならない法相が法の制約を勝手に取り払う変更を記録文書も残さずに行っています。この解釈変更で、人事院が日付のない文書を出してきたのも〝奇妙〟です。  

 野党は、従来の解釈では認められない定年延長を検事総長人事への政権の介入とみています。もちろん、違法行為があると権力者でも訴追する検察官の政治的中立は「法治」の柱です。  

 安倍政権は、記録文書のないグレーゾーンを駆使することを〝得意技〟としています。 それが、日本の「法治」への国民の信頼を根本から揺さぶりかねません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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