安倍政権の疑惑のクラスター

 

 昨今、クラスターといえば誰もがコロナ禍を思い浮かべるでしょう。専門家が感染者集団のことをしきりにクラスターと呼んでいますから、すっかり耳に馴染みました。  

 しかし、もともとは果実の房や花の束を意味する言葉で、そこからさまざまな集合体を指すようになっています。   

 いくつかの法案をまとめて議会に提出する〝束ね法案〟も、このクラスターの一種でしょう。  

 先日、国会で審議入りした国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる法案には、検察官の定年を延ばす検察庁法改正案も束ねられていました。  

 似たような話ですから見過ごしそうになりますが、怪しげな法案です。改正案は、何も検察官の定年を65歳にするだけではありません。  

 最高検の次長検事と高検検事長は63歳で役職ストップのはずでしたが、〝束ね法案〟では「特別の事情」があるときは続投OKとも書いてあるのです。  

 これは黒川弘務・東京高検検事長の定年を半年延ばした一件と重なって見え、あのケースを図々しく明文化したものです。   

 安倍政権に近いとされる黒川氏の続投をめぐっては、法解釈を後付けで変えた疑いが晴れないままです。  

 そこへもってきて、この〝束ね法案〟です。いかにコロナ禍の最中とはいえ、曖昧な説明では有権者の納得を得られないでしょう。  

 コロナ禍で過ぎゆく日々、この問題に限らず疑惑のクラスターがあちこちに放置されています。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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