コロナ対策では剣道での勝敗を参考にする

 作家の池波正太郎さんは、剣道の勝敗についてこう書いています。 

「勝ったと思っても決定的な勝ちではなく、相手が立ち向かってくる場合もある。それに備えて、心を勝負に残す」  

 剣道では、竹刀で相手に打ち込んだだけでは「一本勝ち」とはなりません。  

 まさに「気」と「剣」と「体」が一致した「打突の機会」に、残心が加わってやっと「一本」となります。なお残心とは、攻撃後の心の構えを指しています。  

 安倍首相の〝お友だち〟であるトランプ大統領は、コロナ禍対策で制限してきた経済活動の早期再開を早くも考えているようです。  

 この姿勢は残心どころか、相手を十分に打ち据える前から竹刀を放り投げるようなものです。ここ数日、米国では新規の入院者数の増加がやや緩やかで、それを見た判断なのかもしれません。  

 これに反対しているのは、感染者の多いニューヨーク州で感染対策の指揮を執るクオモ知事です。  厳しい外出制限で、微かに見えてきた明るい兆しです。ここで気を緩めては、元も子もありません。クオモ知事の判断は、もっともな話だと思います。  

 感染対策で初動の遅れを批判されているトランプ大統領としては、経済活動の再開で今年11月3日の大統領選での支持確保という計算があるようです。  

 しかし、相手は新型コロナウイルスという強敵です。残心のない甘い剣が招く結果は、残念のほうに傾きかねません。  

 一方、安倍首相がつけているマスクのサイズが小さいという声があり、これについて〝小咄〟がネットなどで流布しています。内容は、こうです。  

 某国のスパイが、安倍首相が装着しているマスクが小さい理由を調べて上司に報告しました。

 「トランプ大統領への配慮です」  

 確かに、トランプ大統領はマスクをつけていません。〝お友だち〟の安倍首相としては真似をしたいのですが、マスクなしでは危険です。  

 そこで安倍政権内で激論の末、「マスクはつける。ただし、サイズは少し小さく」と決まったというオチです。  

 ともかく、安倍首相には感染対策で拙速だけは避けてもらいたいものです。なぜなら、安倍首相が困っている人の命よりも死守したい〝アベノミクス〟はすでに崩壊しているからです。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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