エアー緊急事態宣言にならないことを祈る

 世界中を混乱させている新型コロナウイルスの直径は100ナノメートルほどで、0.0001ミリメートルです。そんな微細な病原体から逃れるには、人と人との接触を減らすしか手がありません。それだけが感染を撥ねつけ、防護服の役割を果たすのです。  

 1都6府県を対象にした緊急事態宣言の発令で日本もこの策を強めることになったと思っていたら、朝夕の満員電車はさほど解消されず、開いている店も散見されます。確かに都心は閑散としていますが、各地の商店街は意外に多くの人が出歩いています。  

 緊急事態宣言が発令されても、国民の防護服はナノ単位のウイルスを前にしてきめが粗い気がします。  

 休業要請をめぐる迷走も残念な話ですが、政府は「厳しくすれば補償を迫られ、経済への打撃も広がる」と中途半端な姿勢を続けています。居酒屋は早仕舞いなら営業OKということですが、自宅待機の人々が昼飲み走って感染が拡大したら元も子もないという声も上がっています。  

 要するに、発出された緊急事態宣言はどこまでいっても世の良識が頼りなのです。ウイルスといえども電子顕微鏡を使えば見えますが、日本社会の「空気」は感じるしかありません。それによりかかった対策は、どんな結果をもたらすことでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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