グローバル化は感染症を拡大させる

 コレラは、19世紀から20世紀にかけて世界の人々を震撼させまし。もともとインドのガンジス川流域、とくに下流のベンガル・デルタ地帯の風土病でした。紀元前4世紀ごろの碑文に、似た疫病の記録があるといいます。   

 この風土病(感染症)の局地的流行は、「エンデミック」と呼ばれます。しかし、コレラはヒンズー教の巡礼に運ばれてインドの各地で流行することがありました。この広い地域での流行は、「エピデミック」と呼ばれます。  

 そして近代になり、通商と交通網の発達がコレラの世界規模の大流行をもたらしました。この世界的な規模の流行は、「パンデミック」と呼ばれます。「バンでミック」は、「国を越えた感染拡大が制御できず、地球上の人類の誰にも感染の可能性のある状態」を指しています。  

 世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの感染拡大について「パンデミックとみなせる」と表明しました。欧米やイランで、感染者が急増するなかでの宣言でした。今後、アフリカを初めとして医療態勢の不十分な地域の感染拡大が心配されます。  

 19世紀に発生したコレラの感染拡大は、地球を一周するのに20年かかりました。これに対し、新型コロナウイルスは昨年末からの2カ月半で世界の110を超える国・地域の約12万人に感染を広げています。  

 新型コロナウイルスは、昔なら武漢の風土病で収まっていたかもしれません。それが世界中の人々の暮らしを脅かす悪疫となったのも、人間の文明のネットワークにうまくとりついたからです。  

 ともかく、感染拡大の防止はグローバル経済の分断も招いています。その結果が、世界的な株価大暴落です。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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