キャラがかぶるのは嫌

 「同族嫌悪」という言葉がありますが、同調圧力や事なかれ主義の風潮に毒されているとそこに〝自分と似た存在〟を頻繁に目にするようになります。同族嫌悪とは、自分に似た容姿や性質を持つ人物に対して抱く〝嫌悪感情〟のことです。

 まるで鏡に映るもう一人の自分を見ているようで、いたたまれない気持ちになるのもその現れです。こうした経験を持つ人は、少なくないはずです。若者言葉でいうなら、まさに〝キャラがかぶる〟といったところです。  

 この感情を無意識の働きとして学問的に掘り下げたのが、スイスの精神科医で心理学者のカール・グスタフ・ユング医師です。ユング医師は、他人に知られたくない隠れた自分の気質を「影」と定義しました。

 また自分の影を他人の言動のなかに見つけ出し、それを批判する行為を「投影」と呼んでいます。あなたが嫌いな〝同族嫌悪〟の対象は、意外と自分にそっくりの「影」が「投影」された自分自身の〝化身〟なのかもしれません。もちろん、そのなかに〝本当の自分の姿〟も潜んでいるでしょう。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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