フェイクニュースは不安に乗じて広がっていく

  一目瞭然の嘘でも、不安な世情と人心に乗じると瞬く間に広がっていきます。たとえば明治期、信じがたいデマが広まっています。 

「政府が兵士の生き血を取る」 

「赤い旗などを血で染める」  

 徴兵制を説明する政府の文書に、「血税」という言葉があったためです。今で言うなら、 フェイクニュースの拡散でしょう。実際、新型肺炎の感染が拡大する背後で、デマも広がっています。  

 中国では、特定の食品に予防や治療の効き目があるといった偽情報がネットで拡散しています。欧州メディアによると、麻薬が効くとか漂白剤の飲用がいいとか危険な内容のデマも拡散しているといいます。  

 感染した動物がうろついているという噂や中国の陰謀が関係しているという説など、少し考えると怪しいとわかりそうな情報がネット上を飛び回っています。日本でも先月、感染者が逃亡中というデマが流れています。  

 世の不安をエネルギーに、現代のフェイクニュースは高速で広がっていきます。それが正しく怖がることを妨げ、人種や特定の人々への憎悪も煽りかねません。デマによる混乱もまた、感染症の怖さです。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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