政治家の資質と危機管理

 社会学者マックス・ウェーバーは、名著「職業としての政治」のなかでこう述べています。

 「情熱と判断力の2つを駆使しながら、堅い板に穴をくり貫いていく作業」  

 クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の新型肺炎をめぐる乗員、乗客に対する検疫をめぐる一連の対応など危急の際に判断する力こそ、政治家に求められる欠かせない資質です。  

 この点、小泉進次郎環境相や森雅子法相、萩生田光一文部科学相は、2月16日に首相官邸で開かれた「新型コロナウイルス感染症対策本部」の会合を公務以外の新年会や送別会といった〝不要不急〟の理由で欠席しています。  

 国立感染症研究所長の脇田隆字座長は、対策本部の会合と同じ日に開かれていた「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の記者会見でこう述べていました。 

「不要不急の集まりを避けて」

  記者に「不要不急とは具体的に何か」と問われると、新年会や送別会を例に挙げていました。  

 その日、新年会すら自粛したほうがいいという空気のなかで、小泉環境相向かったのは地元後援会の新年会でした。森法相は書道展、萩生田文科相は消防団関係者の叙勲祝賀会に出席しています。   3人の大臣は、どちらを不要不急と判断したのでしょう。危機ともいえる事態は、はかなくも3人の政治家の資質の一端を明らかにしました。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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