自分と向き合う
金沢市にある鈴木大拙館は、偉人の名を冠した記念館の類でこれほどモノのない場所も珍しいといいます。
鈴木大拙は世界的な仏教学者として知られ、著作も数多くあります。しかし、モダンな記念館の建物内には書斎での写真や自筆の書が点々と配されているだけです。
ほの暗い通路から明るく広々とした人工池のほとりに出ると、誰の足も「水鏡の庭」の前で止まるでしょう。周りの木々の緑が映える水面では数分に一度、魚が跳ねたような音がして波紋が広がり、やがては消えてしまいます。
鈴木大拙館は2011年秋に開館し、すでに数十万人が訪れたといいます。今でも年間7万人ペースの来館者があり、その4割は海外からの訪問者が占めています。SNSでも、評判になっているそうです。
とくに館に長い時間、滞在するのは海外からの訪問者だといい、水や風の音を耳にしながら自分を包む緩やかに流れる時間と向き合うとき国や宗派を超えて感じ取れる何かがあるからでしょう。
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